1年間のまとめ

この1年くらいで選んでいただいた句を並べてみました。

 

俳句ポスト365

水仙の群れてさみしい渡船場

山眠る三号棟のリノリウム

ひなまつり生糸のやうな髪を編み

百千鳥あさのひかりを変換す

影きゅっと細くする鳥あたたかし

薔薇あかくあふるるやうにひらかるる

月わるる音のぱりんとかたつむり

産声の肺の収縮原爆忌

穂のゆるび風の形となる芒

地下鉄地下を抜け鰯雲きれい

立冬の鯉のくぐりし陽の密度

 

俳句生活

ずつしりと肩に受けとむ狩の空

福寿草初版昭和の図書五冊

体温をわけあって寝る子猫かな

朱の守り袋にゑまふ春日傘

猿山も象舎もしづかなる朧

滝はあの高さを落ちてきよらなり

百のてふ眠らせ紫陽花のしづか

炎天へゆらと電柱たてらるる

くらきものふくふく吸ひて螽斯

寄せ書きの白球古ぶ子規忌かな

草の花ぽろんと止まるオルゴール

冬凪や王墓は千年前のまま

 

ギュッと!四国

朱を添へて青菜を添へて雑煮かな

桜鯛ほろとこぼるる身もめでたき

風のチューリップ 旋律はボレロ

白鷺の佇むだけの田の日暮れ

まだメロン残つてゐるといふ心地

ただいまの数だけ減りし団扇かな

芋煮会たけなわ雲は自在なり

なべ底に椎茸 指南書は難し

秋鯖の文字大大と定食屋

手袋のままの握手の強さかな

 

 

結果は…

芒が類想、百千鳥が佳作、あたたかが秀作、それ以外が並、

子猫と春日傘が佳作、それ以外は人選、

雑煮、団扇、椎茸、秋鯖が佳作、それ以外は秀作でした。

 

令和相聞歌と目標と

令和相聞歌、80文字以内の恋歌の作品から、ただいま一次通過65点が掲載中で、投票できます。

令和相聞歌 (reiwasoumonka.com)

 

65点の中に1句残していただきました。

去年はうどんと飴と塩いただきましたが、毎年同じでしょうか? うどんおいしかったのでまたいただけたらうれしいという、うどん狙い(^^;

 

ところで今年の俳句目標は、オンライン句会ライブで組長直筆の紙をもらう、が一番だったので、達成できたのですが、次が、365日季語手帖で特選と本がもらえたらうれしい、なのですが、23日発売ってもうそれクリスマスプレゼントじゃないですか!

もらえなくて泣いてると思いますが、今年は俳句ポスト秀作、NHK俳句入選などもいただけましたし、私にしては上出来です。

 

後日:もらえなかったので2023年は頑張る( ̄ー ̄)

 

最近、文芸選評投句わすれ続けているというか、他もあまり作句できてないのですが、何とかまた来年もうどんをいただけることを励みにがんばりたいです……それが間違ってゐる(;・∀・)

来年はピンクですね。2017年もピンクだったのでお間違いなきよう。

毎年表紙がかわいいです。

来年こそはもっとちゃんと365日の季語で俳句つくりたいです。

瓢箪から人生

夏井いつき先生のエッセイ「瓢箪から人生」

面白かったです。

お父様の入退院のところは涙涙でした。

俳句はそんなに興味なかったとしても、面白いエピソードがたくさんあって楽しめると思うので、いろんな人に読んでいただきたいです。

 

私は少し、プレバトと、プレバト以外で活動している夏井先生が別人のように思っているふしがあるので(ん?)夏井先生ってこういう人みたいな人物像そのままですが、テレビでしか知らなかったら意外な感じがするでしょうか? ズバズバ言って厳しいとかそういうのも、俳句やそれをつくった人にしっかり向き合っているからこそ言えることで、生半可な気持ちでは到底できないことなんですよね。

とかく私などはいろんなものを回避しがちで、例えば人の死など悲しいことももうそれはどうあがいても取返しもつかないものだとか、何か言い訳ではないですけど、諦めみたいなものを持っているような気がしますが、夏井先生は悲しみは悲しみとして深く受け止め、またそれを文章としてしっかり書ききれるというのは、本当にすごいと思います。

めいっぱい生きて充実している。私とかもう3割くらいの力と惰性でだらだら生きているので見習いたいです(^▽^; 

 

ところで、前々から組長のファミリーヒストリーみたいなと思っていたんですが、ご本人も書かれていて!(笑)見てみたいです。

 

 

句集「森へ」宇多喜代子

「365日季語手帖」の中にあったふくろうの句が好きすぎて購入してしまった宇多先生の第8句集。

 

ふくろうのふの字の軽さああ眠い

 

心地よいきらめきと奥行がある。俳句ってこいうものなんだなという。生死にかかわること、戦争のことなど、重い内容もありますが、迫ってくるものがあって引き込まれる。装丁も素敵ですね。お気に入りになりました♪

俳句ポスト365 原爆忌

印象に残った句について少し思ったことを書いてみました。敬称略で失礼します。

 

原爆忌被爆ピアノのソラ無音
大庭慈温

上五に原爆忌とあって思い浮かべるのですが、下五の「ソラ無音」で一瞬にして眼前に投下直後の焼け落ちた街が映し出されたような気がしました。写真などで惨状を見た時、あまりの光景にそれ以外の聴覚などの感覚が奪われたような時に似て。
今まで考えたこともありませんでしたが、あの日の恐らく爆音で耳が聴こえない状態になられた方が大勢いたのだろうということを思い、はっとしました。

 

水筒の底に我の眼原爆忌
碧西里

実際水面に映って見えるのかわかりませんが、今この時の自分の眼が水に映っている絵が浮かび、そこへ下五の原爆忌と続く、重み。選評にもありますが、その日が立ち上ってくるような錯覚を覚えました。今を生きるその眼と、同じように生きた人々があの日にもいた。その水を挟んで向こう側とこちら側があるように、それは表裏一体であるかのように。

 

折鶴の羽にホチキス原爆忌
ギル

悪意なのか、悪戯なのか、何かに留めるために何気なくしたものなのか。
いずれにせよ、羽にホチキスとそれだけを見ると、物凄く痛そうで残酷な印象を受けますが、案外それをした人にとってはそう深く考えたことではないのかもしれない。加害者と被害者というのはそういうものかもしれないと。

句具ネプリ 2022年 秋分 Vol.7(追記あり)

句具ネプリ 初めて参加させていただきました。

いい句がたくさんあって選びきれない。あと感想長くなるので(^^; 一読して気になった句についてこちらに少し書いてみます。後でまた追加するかもしれません。

 

容疑者の多きドラマや落花生
河添美羽

 

落花生が抜き取られるところが目に浮かびました。地中でつながっていて、ひきぬくと驚くほどたくさんの落花生が現れる。1人の人間が死んだことによって浮かび上がる人の多さ。思えば人間が生きていくということは多くの人がかかわるということで、地中でつながっている落花生のようなものだと、生きるということを壮大に考えさせられました。同時に、ドラマを見ながらぱりぱりむいて、ぽりぽり落花生を食べてる(散らばる!)ところも想像できて楽しい句だと思いました。

 

キリンの仔しつかりキリン秋さやか
稲畑とりこ

 

あんなに小さいのに模様も姿も色もキリン!という当たり前のようでいて奇跡のように不思議な姿。秋さやかという季語が、キリンの繊細な模様やまつ毛を思わせて心地よい句です。

 

月を待つカヌレにちょうどいいお皿
後藤麻衣

 

カヌレとマカロンは鑑賞するものではないかと思うのですが(笑)

カヌレは崩れることのないしっかりとしたきれいな形で、それにぴったりのお皿がある、カヌレを載せる、その完成された光景と、食べれば甘いお菓子。わくわくする気持ちと食べた時の満足感と、月を待つという季語のとりあわせがとても好きです。